セミナーで森田療法についてお話ししてきました
先日、私が非常勤で勤めている大学院での講演会で、森田療法について話させていただきました。
題して、『普段使いの森田療法~現代語訳「森田療法」~』です。
私はその大学院で精神医学全般について講義させていただいているのですが、毎年森田療法についてお話しすると、必ず数人の学生さんが「知識を得るという意味でも勉強になったが、それ以上に自分が生活していく上でも役に立つ」とか「自分は実は発表などの際に緊張してしまうのだが、その際に、どういう心持で臨めばよいか勉強になった」などと言ってくれます。
実際に「森田療法の考え方を取り入れたら、今までやった発表の中で最もうまくいった」とおっしゃった学生さんさえいます。
そんな経験を積み重ねるうちに、私はだんだんと森田療法は神経症といった病名が付くほどの人のみならず、普通の人の普通の悩みにも有効ではないかと思うようになってきました。
それで、この度、大学院から、港区との合同講演会で話すようにとのお話をいただき、ぜひ、このテーマについてお話させてもらいたいと考えたのです。
当日は、いわゆるハイブリッド形式で開催されましたが、会場にも多くの方にいらしていただけました。
講演の内容の骨子は、実は大学院の講義で毎年お話している内容でだったのですが、今回は、いつも講義でお話しさせているのより、だいぶ長い時間をいただけたので、普段話し足りないと考えている部分や森田先生のエピソードなども含め、十分にお話することができました。
まずは、森田療法の理論ということで、「精神交互作用や思考の矛盾」そして「精神交互作用を打破するためには」といった内容のスライドをお示ししました。
さらには、森田療法においては、決め台詞(?)と言いますか、短い言葉で病気を説明し、行動の指示を示す、格言(?)のようなものが多数いあるのですが、それもいくつかお示ししました。
そして、その中に、いくつか、私自身が、森田先生のお言葉を今風に置き換えたものも滑り込ませました。
というのは、森田先生のお言葉は、どれも素晴らしいのですが、いかんせん大正時代の教養の使う言葉なので、現代からみると少し難しすぎるのです。
それで、私が(大分格調が下がってしまうのですが)現代語に翻訳してみたのです。
実際、そういった言葉を、私は診察の中でもよく使うのですが、比較的、ご理解にが重宝いただいているように感じております。
なお、それらの私なりに翻訳した用語に関しては、来年くらいに、「私家版『森田療法現代語訳』」とでも銘打って冊子にし、当院でお配りしようと考えております。
よろしければお手に取っていただければ幸いです。