AERA(アエラ)にコメントを載せていただきました。

AERA(アエラ)にコメントを載せていただきました。

27日に発売された最新号の「アエラ」に、コメントを載せていただきました。私が懇意にさせていただいている精神科医である勝先生が、「六月にメンタル不調を訴える方が増えるが、その方々は適応障害ではなく、うつ病の場合が多いのではないか」という説を提唱されており、それに関連してコメントを編集部から求められたのです。私も近年、「うつ病か適応障害か」という問題には関心があり、このブログにも書かせていただいています(編集部も、このブログを読まれて、取材先として決められたのだそうです)。具体的な内容につきましては、ぜひアエラをお読みいただきたいと思います(当院では、以前より院内にアエラを置いてありますので、ぜひお手に取ってご覧ください)。各領域の専門家がコメントを寄せていて、私が言うのもなんですが、とても読み応え5のある記事になっていると思います。

この、「六月の『うつ状態』が、うつ病の方が多いのか、適応障害の方が多いのか、という問題については、これからの検証が必要とは言えるでしょう。しかし、診断的な問題さておき、6月に不調を訴える方が多いのは事実です。当院でも、ほとんどの年で、6月の新規の患者さんが突出して多いのです。

新規でなくとも、以前回復されて一旦治療が終わった方がまた再来されたり、あるいは治療中の方がなぜか調子を崩されたり、といったこともしばしばあります。

こういった事実には様々な要因が関与していると思います。この季節の、変わりやすい天候は確実に精神に影響を与えます。うつ病などの精神疾患は、身体の一部である脳という内蔵で起きる病気なので、外部環境の気圧の変化や日照時間の変化などには物理的に影響を受けてしまいます。それに加えて四月は多くの人が社会的環境の変化を被ります。これは大きなストレスでしょう。

 

さらにもう一つ大きな要因があります。それは昔から精神医学の領域では広く知られている「荷下ろしうつ」という現象の影響です。

ストレスのピークとうつ病の発症の時期とは少しずれることが知られています。ヒトは、ストレスがピークに向かってゆく時は気も張っているので、なんとかギリギリ精神状態も維持できるのです。しかし、ストレスがピークを越えて、ホッとした時、気も緩み、それまでの疲れがドッと押し寄せ、うつ病が発症してしまうことが多いのです。この現象を称して「荷下ろしうつ」と呼んでいます。

今年は前代未聞の10連休という長いゴールデンウィークでしたね。この期間は、どなたにとっても、ホッと一息つけた時期ではあるでしょう。しかし、同時に、先に述べたような「荷下ろし状況」に陥いる時でもあったわけです。ゴールデンウイーク前にハードワークが続いて疲弊していた方々が、うつ病が発症しないか、とても心配です。

皆様も、ぜひ、何かちょっとした心身の変調があれば、なんでもお気軽に相談していただきたいと思います。