アエラに掲載されました。
「先日アエラ編集部の方から取材を受けまして、本日(6月22日)発売のアエラの記事に載せていただきました。
取材の内容は、「自粛生活の中で、ゲームの『どうぶつの森』で癒される人が多くいたが、それはなぜか。『どうぶつの森』と箱庭療法は似ているか」という興味深いものでした。私(三宅)はゲームのことは全く不勉強なのですが、取材当日、編集の方に見せていただいたそのゲームはなかなか面白そうでした!
ただ、どちらかというと、箱庭療法というより、日本に古くからある「箱庭遊び」に似ていると感じました。日本には昔から「盆景」という箱庭的な趣味はあったし、子供の遊びとしての箱庭遊びは、戦前まではごく普通に行われていたようです。実は当院の箱庭療法のアイテムの棚には、盆景用のミニチュアも置いてあります。
しかし、より箱庭遊びに似ているとしても、価値がないという意味では全くありません。盆景や箱庭遊びはかなり楽しそうな遊びですし、箱庭療法とはまた違った治療的効果がありそうです。
心理学者のユングは、自分自身相当深い精神的危機に見舞われた時期あります。その時、ただ何も考えずに湖畔で石を積んで家や村を作るという行為に熱中し、それによって救われたという有名なエピソードがあります(なんとその後ユングは自ら石工の資格も取って、実際の塔まで建ててしまいました!)。
何かに熱中したり、あるいは、没頭して何かを作っていく、という行為には、何か意味があるのでしょう。取材では、おもにユング心理学の立場からお答えしましたが、森田療法的な治療効果もありそうです。「どうぶつの森」には、毎日花に水をあげないと枯れてしまう、といった作業的な面があると思ったのです。森田療法では、目の前の作業に没頭することの大切さを説きます。目の前のことに没頭することによって喜びも体験できますし、さらには、没頭することによって、不安が和らぐことも体験できるからです。ですから、不安を持ちながら自粛するという、ストレ
スフルで不自由な生活を送っていう生活の中で、目の前の(例えバーチャルな世界だとしても)やるべきことに熱中して過ごす、というのは、かなり心の安定に役立ったことと思います。
ただ、私としては、自粛が解除されて自由度が増してきた現在、リアルな世界の中に、ゲームと同じような没頭できることを広げていくこともオススメです。
もう自粛も緩和され、花屋さんも開いてきました。ゲームの中で花を育てることにハマったという方は、実際の花屋さんに行って花を手に取ってみるのはいかがでしょうか?」