心房細動

メンタルの病気と誤解される内科の病気について

11月21日は休診させていただき、誠にご迷惑をおかけ致しました。申し訳ございません。
実は入院しておりました。全く大病ではないのでご心配には及びません。心房細動という不整脈が元々あったのですが、それを「アブレーション」という一種の手術で良くしてもらってきました。



おかげさまで、ほぼ完治に近い状態でして、薬もだいぶ減って自分でもびっくりしているほどです。

入院中、ただボーッとしているわけにもいかないので、このようにパソコンと電子サックスを持ち込んで、今度の講演のスライド作りをしたり、サックスの発表会の練習などしておりました。



今は多くの患者さんが入院時にパソコンを持ち込むようですが、さすがに楽器を持ち込むことは珍しいようで、看護師さんも驚いていたというか呆れていたというか…。
しかし、実は退院日の午前中に発表会のリハーサルがあるという大忙しの状況でして、私も背に腹はかえられず…だったのです。
おか
げさまでリハーサルも、下手ながらも元気にやり遂げることができました。

ところで、この心房細動というのは(詳しく言うと発作性心房細動というタイプは)時々、脈が早くなるという発作が出現するという病気でして、実は発作がない時には心電図も正常で、心臓の病気だと見分けることはできません。
精神科医として心配なのは、この症状を、いわゆる「パニック障害」と思い違える方がいらっしゃらないかな、ということです。
医者側は、もちろんその危険性は重々承知の上で診断を考えていきます。しかし、患者さん側としては、今はメンタルの病気の情報がネットで手軽に検索できますので、「急に動悸が起こる」ことについて調べると、「心房細動」よりも「パニック障害」のほうが、早くヒットしてしまうかもしれませんね。

実はこの心房細動以外にも、安易にメンタルな病気と見誤ってしまうと大変なことになる病気もあります。
ですので私ども精神科医も充分注意して診療にあたっているつもりではございますが、皆様もメンタルクリニックにいらっしゃる前に(あるいは、すでにかかっているのだけれども、一向に良くならない場合などにも)専門の内科医を受診して、内科的な病気が本当にないのか調べてもらうことをお勧め致します。

なお、私は退院後、至って元気に過ごしております。
入院森田療法
では、最初の1週間、ただただ個室で寝ていていただく、という技法を用います。これを臥褥(がじょく)と言うのですが、これは、そのくらい寝ていると自然に動きたいというエネルギーが湧いてくるので、そのエネルギーを発揮させることによって行動を促そう、という作戦なのです。

私も一種の「臥褥」を体験したようでして、退院した日にはそのまま音楽の発表会のリハーサル、その翌日は存じあげている画家が出展されている展覧会、などと飛び回っていました。
休診の間は皆様にご迷惑をおかけしましたが、今後はお休みさせていただくことはないと思いますので、ご安心いただけると幸いです。