先日、産業医として伺っているある企業の人事部から「リワークプログラムについて教えてほしい」とのご依頼があり、講義させていただきました。
常々私が「休職中の社員さんの復職の際にはリワークプログラムに通所されてからのほうがいい」と口をすっぱくして言い続けているせいかもしれません。
講義中の写真
私は当院通院中の方にも、休職に入られた場合は、すぐにリワークに通所されることをお勧めするので、リワークについてご存知の方も多いと思います。
リワークプログラムとは
このスライドでお示ししたように、リワークというのは、精神科におけるリハビリ機関でして、ある意味「学校」のようなものです。
そこで、医師や看護師さん等の専門職からいろいろなことを学ぶ場だとご理解いただければと思います。
そこに通うことによって、まずは今回の復職に向けて、心身ともにコンディションを整えることができます。
さらには将来に渡って、うつの再発を防ぐ手立ても学ぶことまでできるのです。
リワークの内容とその意味合いはこのスライドのようなものです。
リワークの目的①仕事に必要な基本能力の回復
リワークの目的②再休職の予防
さらには、この時の講義で私が強調したのは、うつ病でない、「適応障害」の方にもリワークは有効なのでは?ということでした。
そのために適応障害や「現代型うつ病」の専門家のご著書から引用させていただき、こんなスライドを作って講義でお見せしました。
適応障害の方への治療
いかがでしょう?
よく精神科医で、うつ状態の方に「とにかくゆっくりして、会社のことなど忘れて過ごしましょう」とご指示される先生がいらっしゃいます。
しかし私は少し疑問を感じます。休職中の方で、会社のことを完全に忘れられる方がいらっしゃるとも思えません。
心の底では、いつか来る復職の日を考えて不安でいっぱいなのではないでしょうか?
それならば、いっそのことリワークに飛び込んで行って、その不安に対する対処を学び、復職に備えていくほうが建設的なのではないでしょうか?
休職中の方は、ぜひ一度リワークプログラムへの参加を考えてみられると良いと思います。