休職中の旅行について
休職中の旅行について
この間の休日に海に行ってきました。
時々の息抜きは、日々ストレスフルな生活を送っている方には、ぜひとも必要ですよね。
海は、その波音を聞いているだけでも、なぜか癒されるような気がします。
波音といえば、海だけでなく、川の音にも、癒される効果がある気がします。
ある外国ほホテルは、わざと2つの川が合流する場所に建てられていて、そこに泊まると、2つの川の微妙にリズムの違う波音がホテル中に響いて、それが非常な癒し効果をもたらす、と評判になっているらしいです。
ところで、よく、病気療養中の方から、「旅行に行っても良いですか?」とのご質問を受けることがあります。結論から言うと、あまりお勧めできません。
「うつ病」の場合は、病気の本態が「疲労による脳のエネルギー切れ」のようなものです。安静にして、ジックリと脳や身体にエネルギーが溜まってくるのを待つべきです。
旅行は、意外なほどエネルギーを使います。ですからお勧めできないわけですね。
一方、「適応障害」の方は、また違う意味でお勧めできません。適応障害の方には、脳のエネルギー切れという問題は起きていません。
環境とのあつれきによって「心が折れた」状態ですね。気分転換に旅行に行きたいというお気持ちも分かります。しかし、休職中に他にやることがありますよね。
つまり、環境との軋轢が原因、といっても、それが全て環境側の原因かと言うと…。厳しいことを言うようですが、ご本人のストレス耐性にも問題があったかもしれません。
休職中は、ご自分の「ストレス耐性」といった問題についても振り返り、さらには、それを高めるような試みをする良いチャンスと思われます。
当院では、適応障害で休職された方には、一刻も早く、「リワークプログラム」に参加することをお勧めしています。
さらには、旅行に行くことから生じる、他の社員に対する御配慮という問題もあるでしょう。
ご自分はあまりにお辛くて休まれているわけですが、一方で、会社に残った社員の方は、仕事が増えてる大変になっているかもしれませんから…。
以前、私が産業医として勤めている会社の方で、休職中に海外旅行にいかれて、その様子をSNSにあげられた方がいます。
それを、残されて仕事の増えた社員の方が見てしまい、顰蹙を買ったという事例がありました。
またまた厳しいことをことを言うようですが、休まれている患者さんには、「病者のなすべき役割」というものがあります。何をしても良いというわけではないわけですね。
旅行に行くのは、復帰されて、それも順調になった時に、自分へのご褒美のして行く、ということにして、休職中は、それを希望に、治療に専念するのがよろしいかと思います」